実証実験の概要
実証実験レポート [詳細版]
2021年11月~2022年1月(3ヶ月間)にて行った地域通貨『Hello, againコイン』による「デジタル地域通貨を活用した長期滞在・地域周遊効果の実証実験」について、検証結果をレポートいたします。
ユーザー分析
① Hello, againコインに興味をもった理由
「地域通貨」そのものへの興味関心が高いことがうかがえる。地域を応援する手段としての期待値が高いことが分かった。
興味を持った理由・動機は?
(複数選択可)
ユーザー分析
② 滞在期間の長期化効果
都市からのアクセスの良さから日帰りの方が一定数いるものの、約78%が1泊以上との結果になった。
滞在期間はどのくらいでしたか?
(複数回訪れた方は、一番長い日数をご回答)
ユーザー分析
③ 地域周遊効果
加盟店の場所が離れて位置している中で約半数の方が加盟店をめぐる結果となった。
同日/連続した日で決済した店舗数とユーザー件数
総数は87件。同一ユーザーが複数回訪問(連続していない期間)している場合は、各訪問毎の決済店舗数を集計。
ユーザー分析
④ 複数回来訪効果
3ヶ月と短い期間の中で、2回以上来訪したユーザーは約18%。都市から90分という飯能市のアクセスの良さと有効期限付きコインという点が来訪につながった。
また、来訪者が6ヶ月以内に飯能市山間エリアに再訪したいと考えているのは72%。自然が多く四季折々の楽しみがあること、また会いたい人が地域にいることが、来訪希望につながる結果となった。
3ヶ月間にユーザーが来訪した回数
来訪回数
ユーザー件数
12回
1名 ※1
9回
1名 ※1
6回
3名 ※2
5回
2名
4回
1名
3回
1名
2回
3名
1回
54名
※1 運営者
※2 うち1名は運営者
Hello, againコインを利用して、今後どのくらいの頻度で
飯能市山間エリアに訪れたいと思いますか
ユーザー分析
⑤ ギフト分析
ユーザーのギフト率平均は、9.7%。寄付文化が根付いていない日本において、ギフト率0%が当たり前と考える中、65%以上の方が10%以上のギフトを贈っていた。地域を応援したいという気持ちが表れた結果となった。
ギフト率
(ユーザー別)
ユーザー分析
⑥ ユーザーのコメント分析
加盟店への決済後にアプリ上でユーザーが加盟店に送ったコメント。一番多かったのがコイン名の「Hello」「again」「👏(拍手の絵文字)」。そして、「ありがとう」が38件。加盟店に対してお礼を伝えたいユーザーの気持ちが表れている。
ユーザーローカル「テキストマイニングツール」による分析
https://textmining.userlocal.jp/
名詞
単語
出現回数
hello
54
again
54
👏(拍手)
38
コイン
16
大松
14
閣
14
♨(温泉)
13
飯能
12
素敵
12
決済
11
ー
11
alive
10
ランチ
10
お母さん
10
購入
10
皆さん
10
動詞
単語
出現回数
いただく
34
くださる
25
できる
22
楽しむ
8
使う
8
しまう
8
頂く
7
行く
7
癒す
6
会う
6
作る
6
聞く
6
いく
6
形容詞
単語
出現回数
美味しい
30
楽しい
15
よい
6
いい
6
嬉しい
5
可愛らしい
4
素晴らしい
4
優しい
4
明るい
3
すごい
3
欲しい
3
かたい
2
あたたかい
2
温かい
2
柔らかい
2
感動詞
単語
出現回数
ありがとう
38
ご馳走様
2
ごちそうさま
1
ごめんなさい
1
すみません
1
おはよう
1
ユーザー分析
⑦ 学びと幸福度向上効果
「幸福度」の観点で来訪者とそれ以外を比較すると、幸福度指標「ありのままに」「人生満足尺度」において、来訪者が約1ポイント高い。
来訪したことが影響したかどうかは分からないものの、実際に地域に足を運び、コインを使い、地域の方と交流をした方のほうが幸福度が高い結果となった。
『幸福度』 における「来訪者」と「それ以外の集団」との違い
幸福度の指標
アンケート設問
平均値差
幸せ - ありのままに!
私に何ができて何ができないかは外部の制約のせいではない
+0.94
自分自身についての信念はあまり変化しない
+1.34
幸せ - 人生満足尺度
ほとんどの面で、私の人生は私の理想に近い
+0.88
私の人生は、とてもすばらしい状態だ
+0.99
私は自分の人生に満足している
+0.88
私はこれまで、自分の人生に求める大切なものを得てきた
+0.78
もう一度人生をやり直せるとしても、ほとんど何も変えないだろう
+0.98
参加者の声
飯能市在住ですが、加盟店は面白いところばかりなので、最低月に一度はどこかを楽しむことで、さらに飯能を味わい、都市部に住む友人に伝えたい。
地域を活性化させたい。お店の方もステキだったのでまた行きたい。
木と上手く付き合っているなぁというのが印象に残っています。ボートであったり薪であったり、山と共存することを考えさせられました。
使える場所が増えたら、何度も通ってしまいそうです。
日本にとって寄付文化は、まだハードルが高いと思いましたが、10年〜20年後を考えると価値観も変化していきそうなので、期待したいサービスです。家族層は、どこか寄る度に、寄付だと損した感覚になるかなと感じました。なるべく節約できるところは、したいと思うので。
加盟店分析
① コインの決済対応について
QRコードを読み取るだけで決済ができるHello, againコイン。
加盟店の約7割が面倒ではなかったとの回答。
加盟店分析
② ユーザーの顧客単価について
他の一般顧客と比べて、50%の加盟店が顧客単価が高いと回答。コインのコンセプトに共感いただいているユーザーがギフトを贈ることにより、単価が高いと感じていただいた結果に。
加盟店分析
③ ユーザーとの交流/リピーターへの期待について
加盟店のうち、約8割がユーザーとの交流が楽しかったと回答。また、加盟店の約8割がリピーターとなりうることを期待できると回答。ただ決済をするだけのシステムでなく、地域と訪れる人の関係性をつなぐことで地域のファンになっていただくというコンセプトを加盟店にご理解いただいたことで、結果、加盟店にもユーザーとの会話を楽しんでいただくことができた。
コイン利用者との交流は、日常の顧客と比較していかがでしたか?
コイン利用者がリピーター・ファン化につながるか、
期待度はいかがですか?
加盟店の声
ヒトとヒトとの繋がりを重視しており、顧客とお店の心の距離感が心地良い取り組みなのが魅力的。
地域を訪れた方に、魅力的なお店を見つけていただけることができるきっかけになり、地域全体への満足度につながる。
利用者だけでなく加盟店でも輪が広がって地域で色々な循環につながりそう。ウチにはないけど同じ加盟店のあそこならあるかな〜みたいな感じで。お金を地元に落として地域の発展のためにHello,againコインがあるとしたら、Hello,againコインへの想いを同じくして集まった同志だからこその信頼関係もできるのではと思っている。
Hello, again コインのおかげによりまして、普段はお見せすることのない「からくり装置」や「アトリエ見学」などをたくさんの方に体験していただくことができました。今後もHello, again コインを通じてたくさんの方にMuku-studioの魅力や飯能の魅力を伝えていければと思います。