実証実験の概要
実証実験レポート
2021年11月~2022年1月(3ヶ月間)にて行った地域通貨『Hello, againコイン』による「デジタル地域通貨を活用した長期滞在・地域周遊効果の実証実験」について、検証結果をレポートいたします。
効果検証の概要
対象期間
2021年11月1日(月)〜2022年1月31日(月)
3ヶ月間(92日間)
分析対象
● Hello, againコインを利用したユーザー
● 加盟店18店舗
分析方法
● Hello, againコインを利用したユーザーのコインデータ状況分析
● 共感コミュニティ通貨eumoアプリユーザーの事前アンケート調査(回答数:75名)
● Hello, againコインを利用したユーザーの事後アンケート調査(回答数:18名)
● 加盟店18店舗のアンケート調査(回答数:14店舗)
コインの利用状況
実証実験期間において決済したユーザー数は66名、利用金額は168万円、ギフト率は9.7%でした。ユーザーのうち、76%が関東エリアからの来訪者となりました。
決済ユーザー数
66名
加盟店決済件数
339件
全体の加盟店への支払額
1,680,472円
ギフト金額
162,211円
ギフト割合
9.7%
個人間送金の件数
30件
個人間送金の金額
96,588円
サマリー
ユーザーが興味を持った理由・動機は
「eumoの新しいコミュニティ通貨を利用したい(65%)」
「コミュニティ通貨の運営に興味がある(53%)」
「地域通貨」そのものへの興味関心が高いことがうかがえる。地域を応援する手段としての期待値が高いことが分かった。
1回あたりの滞在期間は、1泊以上が約78%
都市からのアクセスの良さから日帰りの方が一定数いるものの、約78%が1泊以上との結果になった。
1回の訪問で2店舗以上訪問したのは45%
加盟店の場所が離れて位置している中で約半数の方が加盟店をめぐる結果となった。
ユーザーのギフト率平均は、9.7%
寄付文化が根付いていない日本において、ギフト率0%が当たり前と考える中、65%以上の方が10%以上のギフトを贈っていた。地域を応援したいという気持ちが表れた結果となった。
来訪者が6ヶ月以内に飯能市山間エリアに
再訪したいと考えているのは72%
ユーザーのアンケート調査により、自然が多く四季折々の楽しみがあること、また会いたい人が地域にいることが、来訪希望につながる結果となった。
「幸福度」の観点で来訪者とそれ以外を比較すると、
幸福度指標「ありのままに」「人生満足尺度」において、
来訪者が約1ポイント高い
来訪したことが影響したかどうかは分からないものの、実際に地域に足を運び、コインを使い、地域の方と交流をした方のほうが幸福度が高い結果となった。
加盟店が、コインユーザーとの交流が日常の顧客と比較して
楽しかったと答えたのが78.6%
ただ決済をするだけのシステムでなく、地域と訪れる人の関係性をつなぐことで地域のファンになっていただくというコンセプトを加盟店にご理解いただいたことで、結果、加盟店にもユーザーとの会話を楽しんでいただくことができた。
3ヶ月という限られた期間の中で行った実証実験であったため、長期滞在および地域周遊効果を検証するための十分なデータは得られなかったものの、地域を訪れたユーザーは、加盟店の人たちとの交流によって、地域の魅力・良さを五感で感じ、自ずと地域を応援したいとの気持ちが芽生え、そしてそれが、ギフトを贈ること、再訪意欲につながる結果となりました。
本実証実験は2022年1月で終了しましたが、今後も地域通貨『Hello, againコイン』は、都市と地域をつなぐ通貨として継続し、繰り返し訪れるビジターと地域の人との関係構築を図ることで、「持続可能な地域経済の好循環サイクル」の形成を行い、将来的には山間エリアを支える関係人口の増加を目指したいと考えています。